古事記日本文化-Japanese Culture-

【面白い古事記③】一神教と多神教の違いは?|古事記の最初の神様は誰?

この記事は約10分で読めます。
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日本では、八百万やおよろずの神と言われているように
神様がいっぱいいるという文化があります。

一方欧米などでは、神様と呼ばれる存在は1人です。

これを「多神教」あるいは「一神教」と呼びます。

日本神話には、多神教と言う通り、たくさんの神様が登場します。
では、その最初の神様は誰なのか…
と、気になったことはありませんか?

そこで今回は、

  • 日本神話の最初の神様とは?

ということについてお話していきます!

今回の話の前にこちらの記事を先に読んでいただくと
より一層分かりやすくなります。

「一神教」と「多神教」の主な宗教や神話

日本神話などの多神教に対する
「一神教」の宗教について簡単に触れておきます。

一神教では、1人の神が絶対的な力を持ち、
そして世界を創造したと考えています。

一神教の主な宗教

  • キリスト教
  • イスラム教
  • ユダヤ教
  • 天理教
  • ゾロアスター教

以上に列挙したもの以外にも世界には
たくさんの一神教の宗教があります。

多神教の主な宗教・神話

宗教の中にも教派などによっては、
一神教の信仰を持つものも含まれていますが、
以下にあげたものが多神教の主なものです

  • 神道
  • 道教
  • ヒンドゥー教
  • 日本神話
  • インド神話
  • ギリシア神話
  • ローマ神話
  • 北欧神話
  • ケルト神話
  • エジプト神話

では次に、今回の本題として
『古事記』では、どんな神様が最初に登場してきたのか
を取り上げていきましょう!

『古事記』の最初の神様たちとは?

世界が始まった時、そこには今のようなしっかりした大地があった訳ではなく
水に浮く油のようにぶよぶよした状態の大地がある状態でした。

そして、そこに神様たち(正確には天津神あまつかみたち)が現れてきます。

それでは、現れてきた順番に神様たちを見ていきましょう!

造化三神(ぞうかさんしん)

世界の始まりと同時に現れた神様が3人(正確には3柱さんはしら)います。

  • アメノミナカヌシ(天之御中主神あめのみなかぬしのかみ
  • タカミムスヒ(タカミムスビ)(高御産巣日神たかみむすびのかみ
  • カムムスヒ(カムムスビ、カミムスヒ、カミムスビ)(神産巣日神かみむすひのかみ

この3柱の神様のことを「造化三神ぞうかさんしん」と呼ばれ、
世界を完成させた神様と言われています。

造化三神とも、性別のない独神ひとりがみ」で、人間界から姿を隠している神様です。

アメノミナカヌシ(天之御中主神)

アメノミナカヌシは、その名前が
宇宙(天)の真ん中を治めるという意味であるように
宇宙の真ん中にいる神様です。

どのようなことをしたのかなどについては、
あまり記述がなく、謎が多い神様でもあります。

タカミムスヒ(タカミムスビ)(高御産巣日神)

タカミムスヒは、世界のすべてのものを生み出した神様であり、
天上の世界である「高天原たかまがはら」の完成に関係した神様です。

『古事記』と並ぶ日本神話の史書である『日本書紀』では、
高皇産霊尊」と別の表記で登場してくる神様です。

カムムスヒ(カムムスビ、カミムスヒ、カミムスビ)(神産巣日神)

カムムスヒは、命の復活・再生に関係する神様であり、
地上の世界である「葦原中国あしはらのなかつくに」の完成に関係した神様です。

こちらも『日本書紀』では、「神皇産霊尊」という表記で登場してきます。

別天津神(ことあまつかみ)

造化三神ぞうかさんしんの次に「ウマシアシカビヒコヂ」と「アメノトコタチ」の2柱の神様が現れます。

造化三神と後の2柱を合わせた5柱のことを「別天津神ことあまつかみ」と言います。

別天津神
造化三神
  1. アメノミナカヌシ(天之御中主神あめのみなかぬしのかみ
  2. タカミムスヒ(タカミムスビ)(高御産巣日神たかみむすびのかみ
  3. カムムスヒ(カムムスビ、カミムスヒ、カミムスビ)(神産巣日神かみむすひのかみ

  1. ウマシアシカビヒコヂ(宇摩うま志阿しあ斯訶しか備比びひ古遅こぢのかみ
  2. アメノトコタチ(天之常立神あめのとこたちのかみ

ウマシアシカビヒコヂとアメノトコタチも、造化三神と同じく性別のない「独神ひとりがみ」です。

ウマシアシカビヒコヂ(宇摩志阿斯訶備比古遅神)

ウマシアシカビヒコヂは、生命力を示す神様です。

『日本書紀』では、「可美葦芽彦舅尊」という表記で登場してきます。

アメノトコタチ(天之常立神)

アメノトコタチは、天上の世界ができたことを示す神様です。

天常立尊」と表記されることもあります。

神世七代(かみよななよ)

別天津神ことあまつかみの後に登場してくるのが「神世七代かみよななよ」と呼ばれる神様たちです。

神世七代は、地上の世界をつくる神様たちです。

神世七代
  1. クニノトコタチ国之常立神くにのとこたちのかみ
  2. トヨクモノ豊雲野神とよくもののかみ
  3. ウヒヂニ宇比地邇神うひぢにのかみ)・スヒチニ(スヒヂニ)須比智邇神すひちにのかみ
  4. ツノグイ角杙神つのぐいのかみ)・イクグイ活杙神いくぐいのかみ
  5. オオトノヂ意富斗能地神おおとのぢのかみ)・オオトノベ大斗乃弁神おおとのべのかみ
  6. オモダル淤母陀琉神おもだるのかみ)・アヤカシコネ阿夜訶志古泥神あやかしこねのかみ
  7. イザナギ伊邪那岐命いざなぎのみこと)・イザナミ伊邪那美命いざなみのみこと

緑文字は、独神
青文字は、男神
赤文字は、女神

クニノトコタチ(国之常立神)

クニノトコタチは、アメノトコタチが天上の世界ができたことを示したことに対して
地上の世界ができたことを示した神様です。

クニノトコタチも、性別のない独神ひとりがみです。

『日本書紀』では「国常立尊くにのとこたちのみこと」と表記されています。
また「国底立尊くにのそこたちのみこと」という別名もあります。

トヨクモノ(豊雲野神)

トヨクモノは、地上に雨を降らせ、大地を潤した神様です。
文字通り、大地を豊かにする雲の神様です。

トヨクモノも、性別のない独神ひとりがみです。

『日本書紀』では「豊斟渟尊とよくむぬのみこと」という表記で登場します。

ウヒヂニ(宇比地邇神)・スヒチニ(スヒヂニ)(須比智邇神)

ウヒヂニが兄、スヒチニが妹の兄妹であり、土を耕し、種を蒔く神様です。

『日本書紀』では、兄が「埿土煮尊ういじにのみこと」、妹が「沙土煮尊すいじにのみこと」という表記で登場します。

そして、このウヒヂニ・スヒチニから
男女ペアの神様が助け合って仕事をしていくようになります。

ツノグイ(角杙神)・イクグイ(活杙神)

ツノグイが兄であり、イクグイが妹です。

ツノグイ・イクグイは、土が流れぬよう、杭を打ちつける神様です。

オオトノヂ(意富斗能地神)・オオトノベ(大斗乃弁神)

オオトノヂが兄で、オオトノベが妹です。

オオトノヂ・オオトノベは、住む家を整える神様と言われています。

『日本書紀』では、兄を「大戸之道尊」、妹を「大戸之部尊」という表記になっています。

オモダル(淤母陀琉神)・アヤカシコネ(阿夜訶志古泥神)

オモダルが兄、アヤカシコネが妹です。

オモダル・アヤカシコネは、畑と家、そして人体の完成を喜ぶ神様です。

『日本書紀』では、兄を「面足尊」、妹を「綾惶根尊あやかしきねのみこと」と表記しています。

イザナギ(伊邪那岐命)・イザナミ(伊邪那美命)

イザナギ

イザナギが兄であり、イザナミは妹です。
そして、イザナギとイザナミは夫婦でもあります。

イザナギとイザナミは、地上の世界の完成を任された神様です。

イザナミ

この2柱にどういう仕事が任されたのかについては、
こちらをご覧ください!

まとめ

今回は

  • 日本神話の最初の神様とは?

についてお話してきました

最後に今回登場してきた神様たちをもう一度まとめておきましょう!

まとめ
別天津神
造化三神
  1. アメノミナカヌシ天之御中主神あめのみなかぬしのかみ
  2. タカミムスヒ(タカミムスビ)高御産巣日神たかみむすびのかみ
  3. カムムスヒ(カムムスビ、カミムスヒ、カミムスビ)神産巣日神かみむすひのかみ

  1. ウマシアシカビヒコヂ宇摩うま志阿しあ斯訶しか備比びひ古遅こぢのかみ
  2. アメノトコタチ天之常立神あめのとこたちのかみ
神世七代
  1. クニノトコタチ国之常立神くにのとこたちのかみ
  2. トヨクモノ豊雲野神とよくもののかみ
  3. ウヒヂニ宇比地邇神うひぢにのかみ)・スヒチニ(スヒヂニ)須比智邇神すひちにのかみ
  4. ツノグイ角杙神つのぐいのかみ)・イクグイ活杙神いくぐいのかみ
  5. オオトノヂ意富斗能地神おおとのぢのかみ)・オオトノベ大斗乃弁神おおとのべのかみ
  6. オモダル淤母陀琉神おもだるのかみ)・アヤカシコネ阿夜訶志古泥神あやかしこねのかみ
  7. イザナギ伊邪那岐命いざなぎのみこと)・イザナミ伊邪那美命いざなみのみこと

緑文字は、独神
青文字は、男神
赤文字は、女神

今回の内容が、みなさんのお役に少しでも立てていれば幸いです!
「参考になった」「ためになった」という人は
ぜひ周りの友だち、家族などに教えてあげてください!

また来てね!

《オススメの日本神話の本》

可愛いイラストが多く、説明も非常にわかりやすいです。
『古事記』のストーリーはもちろん、各神様についても詳しく解説してくれています!

コメント

  1. サムライ・グローバル より:

    最近はChatGPTや生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタインの理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズムにんげんの考えることを模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。このメガトレンドどこか多神教的で日本的ななつかしさがある。

  2. グリーンデジタル より:

    私の調べたところによると中国地方山陰側の島根県安来市いイザナミノミコトの御神陵というものがあるらしいですね。この神様は国土を生むと同時にたくさんの神々も産み落とした。つまり古事記などでつたわる日本神話の多神教性の根本を示しているということになりますね。

  3. リベラルアーツ関係 より:

    AIが進むと古典文学の解析なんかも進みそうですね。まあそうすると、グローバルなビジネストレンドの視点で考えても多様性への流れになっていて国際的にみても、グローバルサウスなどが注目されているのでしょうね。

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