「エゴ」と聞くと、みなさんはどんな印象を受けますか?
- 欲望のまま
- マイペース
- 自分勝手
- 利己的
このようなネガティブなイメージを抱いていないでしょうか?
- 「よかれと思ってしたけど、昨日の言動は、相手のことを考えていない、自分のエゴによるものだった」
- 「人気が出て、エゴイスティックになっていた」
間違った意味ではないので、日常的に使う際には全く問題ないでしょう
しかし最近では、「エゴサーチ」という言葉もよく聞きますね
こっちの使い方でのエゴはどうも上記のニュアンスとは少し違う感じがします
「エゴサーチ」のような使われ方の時のエゴは
心理学者のフロイトが理論化したエゴの考え方で理解することができます
そこで今回は
- フロイトの「心の構造論」って何?
- 「エゴ」ってどういう意味?
- 自分の心の構造を理解できると、思い込みとの付き合い方に活用できる!
という点についてお話していこうと思います
フロイトの「心の構造論」とは?
今回の話は、フロイトの局所論を前提に話を進めていきます
もし局所論や無意識について「よくわからないよ〜」という人は
こちらの記事を先にご覧ください
フロイトは無意識を発見した人物であり、
心の局所論を唱えました
局所論は簡単に言うと
心を「意識・前意識・無意識」の3層に分けて考えるものです
この考え方をフロイト自身が発展させて、
心を「超自我・自我・エス(イド)」の3層に分けて考えるようになりました
この考え方を、フロイトの「心の構造論」といいます
構造論のイメージは下の図のようなものです
色々と線が描いてありますが、今回は重要なところの説明をしていきます
超自我(super ego)
超自我(ちょうじが)はsuper ego(スーパーエゴ)ともいいます
道徳的判断を下す領域・倫理観の領域
(躾(しつけ)・社会的規範・ルールなど)
簡単に言うと、
子どもの頃の家庭や学校で教わってきたルールなどが染み付いて、
それが「絶対正しい」と思っているものです
例えば…
- 早寝早起きはいいこと
- 大学は4年間で卒業するもの
- 仕事は無理してでも3年間働く方がいい
つまり、
理想的な生き方を目指そうとする心の動きです
エス(イド)(es(id))
エス(es)はドイツ語で、英語の「it」にあたります
このエスは、イド(id)とも言われることがありますが、idはラテン語です
欲求・本能的な領域
例えば…
- 食べたい!飲みたい!
- 寝たい!
- 遊びたい!
つまり、
ただ快楽のみを求めている心の動きのことです
自我(ego)
自我(じが)はego(エゴ)とも言います
そう、フロイトの言う「エゴ」は、自我のことを指しています
外の環境と、それに反応した超自我とエスの仲介・調整役であり、
パーソナリティ(人格)を統合する役割をもつ領域
例えば…
- 頑張ったから、ご褒美で甘い物を食べよう
- 今日は身体の調子あまりよくないから、しっかり休もう
- たまには、リフレッシュで息抜きする時間も必要だ
つまり、
自分の欲動(エス)を抑圧・制御し、
現実で生活していくための調整をしている心の動きです
自分の「思い込み」との上手な付き合い方
ここまで「エゴ(自我)」「超自我」「エス」の説明を簡単にしてきました
ただ、まだ「いまいちよくわからないな」と感じている人も多いと思います
そこでここからは、自分の「エゴ」をどう活かしてあげれば、
普段の生活が過ごしやすくなるのかを例え話と共にお話していきます
想像してみよう!
いま、あなたは仕事、あるいは学校から帰っている途中で、
駅のホームで列に並んでいます
今日はいつもより身体も疲れて、頭も痛いです
電車が来ました
満員という程ではないですが、優先座席以外には座れそうにありません
さあ、あなたはこの時どうしますか?
特に正解があるわけではありませんが、
せっかくなので「心の構造」の観点から考えてみましょう!
まず【超自我さん】は、こう考えています
優先座席は、必要としている人のための席だ。
自分が座るべき座席ではないから、立っていよう。
しかし【エスさん】は、次のように考えています
疲れた!しんどい!
座りたいから、座ろう!
さあ、【超自我さん】と【エスさん】の反応をみた【エゴさん】はどうするでしょうか
今日はどうも体調が良くない。
普段なら、優先座席に座るのを我慢すべきかもしれないが、
今日は自分の体調を考慮して座ることにしよう。
「思い込み」と「わがまま」のバランスをとる
上記の例はあくまでも一例です
みなさんは、同じような状況の時どのようにしていますか?
同じ状況でも、人によって対応の仕方が異なるでしょう
なぜか?
例えば、エゴ(自我)がうまく機能しておらず、エスの声を拾えないまま、
超自我だけで反応した場合どうなるでしょうか?
立っているのがやっとの状態だとしても、
「座ることはダメだ」
という思い込みがあるため、座ることができません
こういうタイプの反応をする人は、
そのうち身体や心が限界を超えてしまい、
本当に倒れてしまうことになるかもしれません
同じくエゴ(自我)が機能していない状態で、
今度は超自我の声を拾えておらず、
エスだけで反応した場合はどうなるでしょう?
それほど体調が悪い状態でなくても、
「疲れたから座る」「何が悪い?」
という態度になり、最悪の場合ケンカなどに発展することもありえます
このようなアンバランスな状態をコントロールするために、
エゴ(自我)の存在が大切になります
実は、エゴって悪い奴じゃなくて、しっかり役割を担っていたんですね!
まとめ
今回は
- フロイトの「心の構造論」って何?
- 「エゴ」ってどういう意味?
- 自分の心の構造を理解できると、思い込みとの付き合い方に活用できる!
についてお話をしてきました
他人事のように思いますが、
超自我だけ、あるいはエスだけ、
といったアンバランスな反応をしている人は少なくありません
心や身体の調子によって、エゴ(自我)がうまく働いてくれない時もあります
日頃から
「自分のエゴ・超自我・エスはなんて言ってるかな」
と耳を傾けてあげるだけでも、心が軽くなるかもしれませんね。
今回の内容が、みなさんのお役に少しでも立てていれば幸いです!
また、「参考になった」「ためになった」という人は
ぜひ周りの友だち、家族などに教えてあげてみてください!
それでは!
《オススメの心理学の本》
イラストも可愛くて、例え話も使いながら説明してくれているので、とてもわかりやすいです!
心理学者ごとに用語の解説をしてくれている点も個人的には嬉しい!
日常的に疑問に感じた出来事について、
心理学の視点からイラストを用いてわかりやすく説明してくれています。
心理学に触れたことのない人も楽しく読める本です!
コメント