心理学-psychology-

「無意識」とは何か?ーフロイトの心の局所論ー

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「無意識」と聞くと、みなさんはどういうイメージを持ちますか?
多くの場合、「癖・習慣・無自覚」のようなキーワードと関連づけてイメージされると思います。

また、「無意識に犬を目で追いかけてしまう」「スマホを無意識に触り出してた」のように
「自覚なく何かをする」というニュアンスで日常的に使われています。

このように、日常的にも使われる「無意識」という言葉ですが、
心理学における「無意識」とは本来どういうものなのでしょうか?

そこで今回は

  • フロイトがどのように無意識を発見したのか
  • 無意識とは何か
  • フロイトの局所論とは何か

を取り上げ、心理学における「無意識」についてお話していきます。

☆想像してみよう!

まず、以下の3つのことをイメージしてみてください!

いま、あなたはお昼ごはんを食べています。
「何を、どのように食べていますか?」
と聞かれたら、なんと答えますか?

「オムライスを、スプーンを使って食べている」
と答えたとしましょう。

この時の
いま気づいている自覚できている領域のことを、
心理学では意識と言います。

続いて、

「昨日の昼ごはんは何を食べましたか?」
と聞かれたら、どのように答えますか?

「鶏そぼろ丼と味噌汁を食べた」
と思い出したとします。

このように、
頑張って思い出そうとしたら、なんとなく思い出せそうな領域のことを、
心理学では前意識と言います。

最後に、

どうしても苦手なものはありませんか?

  • 高いところが怖い
  • 背が高くてメガネをかけている男性が苦手
  • 昔は好きだったのに、マヨネーズが嫌いになった
  • マフラーを首に巻けない

このように、
恐いことや苦手なものがなんでそうなったのか理由や原因がよくわからない
それをなかなか思い出すことができない
領域のことを、
心理学では無意識と言います。

以上のように、心には3つの領域があると理論化した人がフロイトです。

それではまず、フロイトについて簡単にご紹介していきます。

フロイトの略歴と無意識の発見

ジグムント・フロイト(Sigmund Freud)

オーストリアの精神科医、心理学者であり、
精神分析学の創始者でもあります。
精神分析学については別の機会に改めて取り上げます)

1856年5月6日、フライベルクにフロイトは誕生しました。
(※フライベルクとは、現在のドイツとチェコの国境付近の小都市です)

1873年秋、ウィーン大学医学部に入学し、
1881年、優秀な成績で医学部を卒業しました。

翌年1882年6月には、マルタ・ベルナイスと婚約します。
フロイトは彼女との結婚のために、もともと目指していた生理学者の道を諦め、
ウィーン総合病院で働くことにします。

そして、病院で出会った患者たちを治療する過程で、
フロイトは無意識を発見することになります。

無意識の発見

病院でのフロイトは、神経症患者の治療にあたることが多くありました。
そして、患者たちに接している中で無意識の存在に気づきます。

※神経症とは?

以前はノイローゼとも呼ばれていましたが、最近では不安障害とも呼ばれています。

ストレスによる心の病気で、誰にでも起こり得るもので、
社会にうまく適応できず、心と身体にさまざまな症状が現れます。
簡単に言うと、
普段の生活で感じる不安・心配が、行き過ぎた状態
です。

例えば…
自分や部屋が清潔であることを保つために、
何度も手を洗ったり、部屋を掃除し続けたりして、
「共有のパソコンを誰が触ったのか気になって仕事に集中できない」
「料理を作る時間になったことに気づかず、床にある汚れの掃除をずっとしていた」
のように、日常生活に大きな影響を与えて、支障をきたしている状態です。

主な神経症の種類
  • 全般性不安障害
  • パニック障害(不安神経症)
  • 恐怖症
  • 強迫性障害
  • 解離性障害(ヒステリー)

フロイトはどのようにして無意識の存在に気づいたのか?

健忘症の症状からヒントを得ました。

特にストレスが要因で起きる解離性健忘は、
先ほどの神経症(不安障害)の症状として現れることがあります。
このように、健忘症の原因は現在では色々あるとわかってきました。

しかし、フロイトの時代には今ほど解明されていませんでした。
そんな状況の中、フロイトは

と考えました。

つまり、
忘れたい記憶は、普段意識できない場所に押し込まれ、
このしまい込まれたものが、たまに神経症の症状として現れてくる
とフロイトは考えたのです。

※健忘症とは?

記憶障害のことです。
簡単に言えば、もの忘れのことです。
このもの忘れが日常生活に支障をきたしている場合に健忘症と言われます。

もの忘れが悪いわけではありません。
忘れることは、人間の記憶の機能として必要なものです。
すべてのことを覚えていたら、
新しく何かを覚える容量がいっぱいになってしまいます。

スマホやパソコンのデータ容量が写真や動画でいっぱいになったら、
それ以上保存ができなくなりますね。
これと同じです。

ただ健忘症とは、例えば…

  • 「昨日やった仕事のデータをどこに保存したか思い出せず、
    今日の業務が始められない」

このようなことが頻繁に起きてしまい、日常生活に支障をきたします。
症状にはもちろん個人差があります。

また、認知症との違いは、先ほどの例えを応用すると、
健忘症が「データをどこかに保存したのは覚えているが、その保存場所が思い出せない」
のに対し、
認知症は「データを保存したこと自体を忘れている」
という違いがあります。

無意識とは?

無意識

普段は意識できない・気づくことのできない心の部分

さらに、忘れたい記憶をこの無意識の領域に押し込むことを
抑圧と言います。

抑圧

思い出したく記憶を無意識に押し込むこと

フロイトの無意識の概念は、よく氷山に例えられます。
上のイラストのように、氷山は水面の上に見えている部分は
全体のほんの一部で、その大部分は海面下にあります。

これと同じで、
人の心も自覚している部分、つまり意識の領域は
心の一部分でしかなく、
無意識の領域がその奥に隠されています。

〈無意識の現れ方の例①〉

子どもの頃、仲の良かった兄が隣のベッドの上で亡くなっていた

大人になり、引っ越しを機にベッドを買おうと思った時、兄が使っていたタイプと同じベッドを買うことを無自覚に避ける

〈無意識の現れ方の例②〉

子どもの頃、友だちとたくさん外で遊びたいと思っていたが、身体が弱くできなかった

大きくなってから、友人と遊ぶ夢を見る

〈無意識の現れ方の例③〉

小さい時、突然カラスに襲われた

カラスが目に入るだけでも怖い

フロイトの考えた心の仕組み

このようにフロイトは無意識の存在を発見し、
心の仕組みについての一つの理論を提唱しました。
それが局所論です。

局所論

フロイトは、人の心には、3つの領域があると考えました。
先ほどの氷山の図と似ていますね。

意識

意識

いま自分が気がついている領域・自覚できている領域

つまり、水面上に出た目で見えることのできる氷山の部分のイメージです。

例えば、「いま何してる?」と聞かれて

  • このブログを読んでいる
  • スマホを触っている
  • 音楽を聴いている

と気づいている部分です。

前意識

前意識

いまは気づいていないが、努力することで意識化できる領域

つまり、普段は水面下にあるが、波の影響などで
たまに、水面上にふわっと出てくる氷山の部分のイメージです。

例えば、「今朝食べた朝ごはんは何?」と聞かれて

  • おにぎり
  • バナナ
  • 何も食べていない

と思い出そうとしたら、思い出せる部分です。

無意識

無意識

抑圧されていて、意識化できにくい領域

つまり、水中の深いところまで沈んでいて、
ほとんど見ることのできない氷山の部分のイメージです。

例えば、
「その人から何かされた訳ではないが、なぜか苦手な人がいる」
といった場合、もしかしたら
「昔、すごく怒られたり、攻撃されたりした人に見た目など(服装、髪型、喋り方)が似ている」
のような思い出したくない記憶が関係しているかもしれません。

まとめ

今回は

  • フロイトがどのように無意識を発見したのか
  • 無意識とは何か
  • フロイトの局所論とは何か

についてまとめました。

無意識とは、抑圧されていて、意識化できにくい心の領域

氷山の絵を思い出してもらえれば、フロイトの発見した無意識の概念は理解しやすくなると思います!

現在は、フロイトの理論について批判的な意見が多いのも事実です。
しかし、無意識の存在を仮定することで納得できるものがあることも否定はできません

みなさんの中で、

ああ!

いつもどこか不安になる理由は無意識にあったのか!

あの人の攻撃的な言動は、

無意識の中にある苦しみから生じているのかも。

と今までは理解できず、もやもやしていたものについて
スッキリするきっかけのお役に少しでも立てていれば幸いです!

実は、無意識を発見したフロイトは、
心の中の役割についても、斬新なことを言い出します。

こちらの記事で取り上げていますので、是非ご覧ください!

今回の内容が「参考になった」「ためになった」という人は
ぜひ周りの友だち、家族などに教えてあげてみてください!

またね〜

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