嫌なことがあった時
気に食わないことが起きた時
自分の気持ちの整理がつかなくなった時
あなたは普段どういう行動や対応を取りますか?
人はストレスや不安を感じた時、実はいろいろな方法で心が壊れることを防いでいます。
そこで今回は
- 防衛機制とは何か
- 防衛機制にはどういう種類があるのか
ということについてお話をしていきます。
防衛機制とは?
正確には「自我防衛機制(ego defense mechanism)」と言います。
この自我防衛機制は、ジグムント・フロイトとその娘のアンナ・フロイトによって考え出されました。
自我(エゴ)については、以下の記事で詳しく説明しています。
こちらを先にご覧いただくと、今回の話がより理解しやすくなります。
自我(エゴ)は、エス(イド)から湧いてくる欲動のコントロールする役割を担っています。
わがままで好き勝手なことをする人と、ずっと一緒にいたら疲弊しますよね。
それと同じように、何の対処をしなければ、
心の中で自我も疲れてしまい、倒れてしまいます。
そこで、自我が壊れないように、みなさんの心は自我を守るために動き出します。
それが防衛機制です。
自我防衛機制には、いくつかも種類があります。
次に、その種類とそれらの具体的な内容について説明していきます。
防衛機制の種類
防衛機制の種類には主に以下のものがあります。
- 抑圧
- 反動形成
- 同一化(同一視)
- 合理化
- 置き換え
- 逃避
- 投射(投影)
- 退行
- 補償(代償)
- 昇華
それでは、それぞれがどういうものなのか説明していきます。
抑圧
思い出すと辛い不快で嫌な体験や記憶を、あるいは、欲求不満な気持ちを
無意識の領域に押し込んで、忘れようとする心の動き。
「子どもの頃、お父さんによく怒られていた」と
お母さんに言われたけど、自分は覚えていない
反動形成
本心とは正反対のことを表現することで、本心を抑えようとする心の動き。
- 本当は先輩のことが嫌いなのに、その先輩について「先輩っていい人だよね」と言う
- Aさんのことが好きなのに、いじわるをする、あるいは素っ気ない態度をとる
同一化(同一視)
憧れの人物の長所・言動・格好を真似することで、
自己評価を高め、自分の不安や欲動を解消しようとする心の動き。
有名人と同じような髪型や話し方をして、それになりきる
合理化
欲望が満たされなかった時、最もらしい理屈・理由を作り上げて、
正当化して自分を納得させようとする心の動き。
- 「あのアクセサリーは自分には似合わない」と言うが…本当の理由は、高くて買えない
- 仕事の失敗を、手伝ってくれなかった同僚のせいにする
置き換え
受け入れ難い感情・欲求を別の対象に置き換えて発散させようとする心の動き。
いわゆる「八つ当たり」のようなこと。
職場で、上司に「何してるんだ!」と怒られた父
↓
家庭で、妻・子に対して「何してんだ!」と怒りをぶつける
逃避
仕事・趣味・ギャンブル・妄想・病気などによって、
受け入れたくない現実と向き合うことから、逃げようとする心の動き。
大事なプレゼンが明日に控えているが…
- 好きな本を読み始めてしまう
- 身体の調子が悪くなる
- プレゼンが成功して、プロジェクトを任される未来を妄想する
投射(投影)
自分にとって後ろめたい感情・衝動を、他人が持っているものとして、
それを非難することで不安を解消しようとする心の動き。
- 昼休みに、流行っているドラマの話題で盛り上がっている人たちに対して
「ここでそんなに騒ぐな!」と言う
(本当は、自分もそのドラマの話でワイワイしたいと思っている) - 自分がBさんのことを嫌いなのに
「Bさんが自分のことを嫌いなんだ」と思い込んでいる
退行
子どもの頃に逆戻りして、問題・不安を解決しようとする心の動き。
つまり、赤ちゃんがやる解決法で、自分の欲求を満たそうとすること。
自分の要求が通りそうではない時に
子どものように、駄々をこねたり、泣いたりすることで、
他人の気を引いたり、自分の希望を通そうとしたりする
補償(代償)
自分の劣等感や欲求を他の方法に置き換えて補おうとする心の動き。
- 勉強は苦手だけど、スポーツで活躍する
- 覚えること、知識を活用することはできないけど、
他人と仲良くなることで力を発揮する
昇華
本来は社会的には認められない欲動を、
社会的・文化的に望ましい行動に置き換えることで、
元の欲動を満たそうとする心の動き。
- 「他人を攻撃したい!」という攻撃的な衝動を
ボクシングに打ち込むエネルギーに変える - 怒りの感情を
芸術(音楽・絵)として表現する - 失恋の苦しみをバネに
勉学・スポーツに励む
まとめ
今回は
- 防衛機制とは何か
- 防衛機制にはどういう種類があるのか
についてお話してきました。
「自分もこういう行動していたかも」
と感じた人も少なくないのではないでしょうか。
あるいは、今まで身近な人の言動で傷ついたり、納得いかなかったりしていた人にとっては、
「あの人も自分を守るためにしていた行動なのかも」と
これまでより相手の言動に意味を感じることもあると思います。
今までより少し穏やかに日々を過ごせるようになれるといいですね!
今回の内容が、みなさんのお役に少しでも立てていれば幸いです!
「参考になった」「ためになった」という人は、
ぜひ周りの友だち、家族などに教えてあげてみてください!
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