前回は、イザナギが死んだイザナミを追って黄泉国に入りますが、
イザナミの死体を目の当たりにしたイザナギが、
イザナミたち黄泉国の軍勢から逃げ切るお話でした。
詳しくは是非こちらをご覧ください!
黄泉国から地上に戻ったイザナギは、
黄泉国での穢れを洗い流すことにします。
すると、たくさんの神様が生まれました!
どこから、なんという神様が生まれるのでしょうか?
今回は、
- 穢れを洗い流したイザナミからどんな神が生まれた?
- 三貴子はどこから生まれた?
- 三貴子はどこの統治を任される?
に関する『古事記』の物語を話していきます!
穢れを洗い流すイザナギ
地上に戻ったイザナギは、黄泉国の穢れを落とすために
筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原で
衣服を脱ぎ捨てて、禊を行いました。
筑紫:現在の九州
日向:現在の宮崎県
筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原(檍原とも):現在の宮崎県阿波岐原町辺り
阿波岐原町には、森林公園などもあり、その周辺のことを指すと言われています。
イザナギが禊を行うと…
- 持ち物や脱いだ衣服などから
- 水の流れで身を清めた時の身体の垢から
- 水中で禊を行った時に
たくさんの神様が生まれました。
順番に、どのような神様が生まれたのか見ていきましょう!
持ち物や脱いだ衣服などから生まれた神様
禊をする際に、イザナギは杖、帯、冠、腕輪などを脱ぎ捨てました。
それらから12柱の神様が生まれます。

ツキタツフナト(衝立船戸神)
…疫病・災害をもたらす悪神の侵入を防ぐ結界を司る神様
ミチノナガチハ(道之長乳歯神)
…ツキタツフナトと同様に、疫病を祓う結界の神様と言われています。道中の長い旅の安全を祈る神様という説もあります。
トキハカシ(時量師神(時置師神とも))
…「袋の口を解く(開ける)」という意味であり、帰った際に袋を開け、穢れなどを解き放つ神様と考えられています。
ワヅラヒノウシ(和豆良比能宇斯能神)
…苦しみや疫病からの回復の神様
チマタ(道俣神)
…境界の守りを司る神様と言われています。
アキグヒノウシ(飽咋之宇斯能神)
…厄除けの神様
オキザカル(奥疎神)
オキツナギサビコ(奥津那芸佐毘古神)
オキツカヒベラ(奥津甲斐弁羅神)
ヘザカル(辺疎神)
ヘツナギサビコ(辺津那芸佐毘古神)
ヘツカヒベラ(辺津甲斐弁羅神)
※奥疎神・辺疎神…「海岸から遠く離れる」という意味
※奥津那芸佐毘古神・辺津那芸佐毘古神…「渚(海岸)」の意味
※奥津甲斐弁羅神・辺津甲斐弁羅神…「沖と渚の間を司る」という意味
つまり、この6柱は
沖合までの海の流れを司る神様と考えられています。
緑文字は、独神
青文字は、男神
身体の垢から生まれた神様
イザナギが水の流れで禊をした時に、身体から垢が流れ落ちました。
その垢から神様が5柱生まれます。
ヤソマガツヒ(八十禍津日神)
オオマガツヒ(大禍津日神)
禍津日神とは、いわゆる「災厄」の神という意味です。
カムナオビ(神直毘神)
オオナオビ(大直毘神)
イヅノメ(伊豆能売)
こちらの3柱は、穢れを払い、禍を直す(流す)神様たちです。
青文字は、男神
赤文字は、女神
水中で禊を行った時に生まれた神様
イザナギは、禊を水中でしましたが、
水の中の異なる3つの場所から、それぞれ2柱、合計6柱の神様が生まれます。
水の底からは…
- ソコツワタツミ
- ソコツツノヲ
水中からは…
- ナカツワタツミ
- ナカツツノヲ
水上(水の表面)からは…
- ウハツワタツミ
- ウハツツノヲ
が生まれます。
そして、ちょうど緑文字の神様と青文字の神様をそれぞれ
綿津見三神・住吉三神と呼びます。
ソコツワタツミ(底津綿津見神)
ナカツワタツミ(中津綿津見神)
ウハツワタツミ(上津綿津見神)
ソコツツノヲ(底筒之男神)
ナカツツノヲ(中筒之男神)
ウハツツノヲ(上筒之男神)
この6柱はすべてが海の神ではあるのですが、細かく分けると
綿津見三神は海の神様で、
住吉三神は航海の神様と言われています。
緑文字は、独神
青文字は、男神
ちなみに、綿津見三神はワダツミ(大綿津見神)でも知られています。

最後に生まれた3柱
そして最後に、
左眼からアマテラス(天照大御神)
右眼からツクヨミ(月読命)
鼻からスサノヲ(スサノオ)(建速須佐之男命)
の3柱が生まれます。

この3柱は、最後に生まれた貴い神様として三貴子(三貴神とも)と言われています。
イザナギは、この三貴子それぞれに
高天原・夜の世界・海の上を治めることを命じました。
- アマテラス(天照大御神)
太陽神。高天原の統治を命じられる。 - ツクヨミ(月読命)
月神。夜の世界の統治を命じられる。 - スサノヲ(スサノオ)(建速須佐之男命)
海原の神。海の上の統治を命じられる。
『古事記』はここから、この3柱を中心に話が進んでいきます。
特にこの3柱の名前は聞いたことも多いのではないでしょうか?
マンガ『ナルト-NARUTO-』にも「天照」や「月読」という技も出てきます。
前回出てきたイザナミが最後に生んだ神様の「加具土命」も技の名前として出ていますね。
海外の方も知っている存在がどんどん出て来たお話でした!
ここからどのような話になっていくのか。
楽しみですね!
まとめ
今回は
- 穢れを洗い流したイザナミからどんな神が生まれた?
- 三貴子はどこから生まれた?
- 三貴子はどこの統治を任される?
についてお話してきました
みなさんの馴染みのある神様たちがどんどん登場してきて、
面白くなってきましたね!
今回の内容が、みなさんのお役に少しでも立てていれば幸いです!
「参考になった」「ためになった」という人は
ぜひ周りの友だち、家族などに教えてあげてください!

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『古事記』のストーリーはもちろん、各神様についても詳しく解説してくれています!
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