みなさんは普段、どのように他人に接していますか?
人懐っこく? 偉そうに? それとも一匹狼?
不安を感じたとき、特にその人の癖が他人への態度に表れてくると考えた心理学者がいます。
それがカレン・ホーナイです。
そこで今回は、
- カレン・ホーナイってどういう人?
- ホーナイの言う「神経症的欲求」とは?
について話をしていきます。
カレン・ホーナイ(Karen Horney)
カレン・ホーナイは、ドイツ出身の精神科医、精神分析家です。
1885年9月16日にドイツのハンブルグ郊外で誕生しました。
12歳の頃、彼女は医者になることを目指します。
しかし当時、女性で医者になることはごく稀で、
実際に彼女は父親から医者を目指すことを反対されます。
ところが、母親が協力してくれたこともあり、
21歳で医学の勉強のためにベルリンに移ります。
24歳頃、彼女自身がうつ病になったことをきっかけに、精神分析と出会います。
その後、アメリカに渡り、アメリカに新しい組織を創設します。
そして、1952年に癌により67歳で亡くなりました。
ホーナイの理論のキーワード
彼女の理論については、今後別の記事で説明をしていきますが、
重要なキーワードだけ以下に羅列しておきます。
- 基本的不安
- 真の自己
- 理想化された自己
- 神経症的欲求
- 自己分析
今回は、このうち「神経症的欲求」について説明していきます。
神経症的欲求
ホーナイは神経症的欲求を3つに分類しました。
- 依存タイプ
- 敵対・攻撃タイプ
- 孤立・離反タイプ
それでは、それぞれについて見ていきましょう!
依存タイプ(人に向かう動き)
依存タイプは、人に向かう動きが特徴的で、
「人に愛されたい」「人から認められたい」という欲求です。
このタイプの特徴としては…
- 誰よりも自分が愛されたい
- 人を喜ばせたい(愛されたいから)
- 人の期待に応えようとする
- 「この人(愛する人)がいれば、全てうまくいく」と依存的になる
- みんなが幸せであることを目指す
- 他人の失敗などを許す心の広さがある
- チームワークを重視する
- グループのバランスをとって行動できる
があります。
◉なぜ他人に対して「依存的」な反応をしてしまうのか?
このタイプの癖が強い人は、「無力感」という不安を心に秘めていると考えられています。
つまり、「自分には何もない」「自分は無力だ」ということに直面することが不安なのです。
だから、他人から愛される・認められることで、
その不安を見なくて済むようにしているという訳です。
敵対・攻撃タイプ(人に反発する動き)
敵対・攻撃タイプは、人に対して反発する動きが特徴的で、
「人よりも偉くなりたい」「人から尊敬されたい」という欲求です。
このタイプの特徴としては…
- 常に正しくなければならない(弱みを見せたら負け)
- 誰よりも知的で優位でなくてはならない
- 指導力・判断力・リーダーシップに優れている
があります。
◉なぜ他人に対して「攻撃的・支配的」な反応をしてしまうのか?
このタイプの癖が強い人は、他人からの「敵意」に対して不安があると考えられています。
つまり、戦って負けて「あいつは弱い」と見られるのが怖いと思うから、
他人より優位に立とうとすることで、その不安から逃れようとしているという訳です。
孤立・離反タイプ(人から離れる動き)
孤立・離反タイプは、人から離れる動きが特徴的で、
他人に対して無関心で、自分の世界を狭い範囲に限ろうとする欲求です。
このタイプの特徴としては…
- 他人から求められること、期待されること、必要とされることを避ける
- 他人とつながりを作ることを避ける
- 自分が唯一無二な存在でありたいと思う
- 約束を忘れる
- 目立たない努力(コツコツ打ち込むこと)が得意
- 集中力がある
があります。
◉なぜ他人から「孤立」する反応をしてしまうのか?
このタイプの癖が強い人は、実は、「孤立」することが怖い人たちだと考えられています。
孤立することが怖いのに、孤立しているの?
と少し矛盾しているように感じるかもしれませんが、
「仲間外れにされたくない」「孤独を感じたくない」と思っているからこそ、
最初から他人と関係を持たなければ、孤立することもないと考えての反応な訳です。
ある意味「人が好き」という想いを持っている人たちが、
このタイプには多いのかもしれませんね。
まとめ
今回は、
- カレン・ホーナイってどういう人?
- ホーナイの言う「神経症的欲求」とは?
についてお話してきました。
神経症的欲求は性格という訳ではないので、
あくまで現時点での自分の癖のようなものです。
そのことがよく表れるのが子どもたちの反応です。
買い物に来ている家族がいました。
お菓子コーナーの近くを通過しようとした時、男の子が
このお菓子欲しい!
と言い出しました。
この時の反応が「依存タイプ」と似ています。
つまり、気持ちが親に向かっていて、
「ねえねえ、僕の言うこと聞いて!」
という状態ですね。
ただ、みなさんも経験があると思いますが、
買い物の時に、自分の欲しいお菓子って買ってもらえないんですよね。
私自身もそうでした。笑
すると子どもたちはどうしますか?
欲しい!欲しい!
買ってよ〜!!!
と駄々をこねて、挙句の果てには怒り始めることもあります。
この時の反応が「敵対・攻撃タイプ」と似ています。
つまり、親に対して反発する態度をとっています。
「おい!俺の要求に答えろよ!」
と言わんばかりの状態です。
それでも、お菓子は買ってもらえませんでした。
さあどうなるでしょうか?
もう知らない
と、いじけて、親がいくら話しかけても無視するようになります。
この時の反応が「孤立・離反タイプ」と似ています。
つまり、親から離れようとする態度になります。
本当は「買って欲しいのに…」と思っているのですが、
叶わないのなら「応えてくれない奴のことは無視だ」
という状態になっていきます。
このように、心の動きが3つの状態に変化し続けているのは、
子どもだけではなく、私たち大人も同じなんです。
今回の話を自分自身に当てはめながら理解すると、
日々自分が他人と接する時に、どういう態度で関わっているのかがわかります。
すると、少しずつ自分の本当の想い・不安な気持ちに気づくこともできます。
自分のしんどい心の苦しみが少しでも軽くなるかもしれませんね。
今回の内容が、みなさんのお役に少しでも立てていれば幸いです!
「参考になった」「ためになった」という人は
ぜひ周りの友だち、家族などに教えてあげてください!
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