今回は、
無意識を発見したフロイトが提唱した
心理性的発達理論という
人間(特に子ども)の発達に関する考えについて説明していきます。
- いつも誰かに依存しちゃう…
- 恋人が甘えん坊で大変…
- 潔癖症的な癖どうにか治したいのに…
- タバコがなかなかやめられない…
心理性的発達理論という考え方を紐解くと、
このような悩みの要因を見つけるヒントになるかもしれません。
この理論の提唱者フロイトは、無意識にある「リビドー」という力が
人間の発達に大きく影響すると言いました。
心理性的発達理論?
リビドー?
よくわからないキーワードが出てきて
混乱している人もいるでしょう。
そこで今回は、
- 「リビドー」とは?
- 心理性的発達理論とは?
- リビドーと人間の発達の関係は?
について、わかりやすく説明していきます!
この心理性的発達理論に対して、
気持ちの悪いイメージを持っている人もいるかもしれません。
しかし、ちゃんと理解すると
好き嫌いはあれど、
「なるほど!」と納得できるところもあると思います。
フロイトの無意識についてまとめた
こちらの記事を先に読んでいただくと、
今回のお話がより楽しめます。
フロイトについて全く知らない人でもわかるようにまとめています。
是非ご一読ください。
「リビドー」とは何か?
まず、とても大切なキーワードである「リビドー」について説明しましょう!
人間の無意識(正確に言うとエス(イド))から
リビドーは湧いてくるとフロイトは考えました。
よく性的な衝動の側面を強調されるのですが、
実は性に関するものだけでなく、
多様な人間活動へとつながる人間の本質的な力を指す概念なんです。
人間の色々な欲求に変換することができる心のエネルギー
それがリビドーというわけです
「リビドー=人間の主な原動力」なので、
赤ちゃんにも備わっているとフロイトは考えました。
そして、このリビドーが
発達の段階と共に変化していくと考えられるようになり…
それが心理性的発達理論としてまとめられます。
心理性的発達理論
各時期に見合った性的欲動(リビドー)が適切に満たされると
その人のリビドーはスムーズに変化していく。
フロイトが提唱した心理性的発達理論は
人間が生まれてから5つの段階を経て発達していく
という考え方です。
それでは、それぞれの段階がどういう特徴があるのか確認していきましょう。
1.口唇期
第一段階の口唇期は、
文字通り「口」や「唇」に関する段階です。
人間にとって口とは、栄養を摂る場所です。
つまり、生きていく上で大切な場所と言えます。
この口・唇を通して、愛情の欲求を満たしてもらう。
すると、「この世界で生きていいんだ」と
赤ちゃんの心の中に、生きるための最も基本的な想いを築き上げることができます。
赤ちゃんに対して、
「好きだよ」「大切だよ」「生まれてきてくれてありがとう」
と言葉で伝えたとしても、残念ながら赤ちゃんは理解することができません。
言葉で話しかけること自体が無駄だとは言いません。
ただ、口唇期の赤ちゃんにとっては
自分の口を通して、愛情を知ることが非常に重要になるということです。
2.肛門期
第二段階の肛門期も、
その文字通り「肛門」に関する段階です。
ネーミングを見て、嫌気がさす方もいるかもしれません。
ただ、フロイトは決して下品なことをふざけて言っているわけではありません。
子育てや勉強をした方はピンと来るかもしれませんが、
この年齢の頃は、トイレット・トレーニングが行われる時期です。
肛門期の子どもたちは、自分の肛門を使う体験を通して、
「自分の身体をコントロールできた!」という
自分のことをコントロールする感覚を身につけています。
3.男根期
第三段階は男根期です。
「男根」とは男性の性器を意味します。
そろそろ続きを読むのをやめたくなる方も出てきそうですが。。。
実際に、男根期が理由でこの理論が批判されてきました。
しかし、フロイトの心理性的発達理論において
この男根期はとても重要な段階です。
簡単に言うと、
この男根期は男女の性差に気づく時期です。
フロイトは、
男の子だけではなく、女の子にも
この男根期があると考えています。
男根期に関しては、この記事の後半で詳しく述べていきます。
気になる方は、こちらからジャンプしてご覧いただけます。
4.潜伏期
第四段階は潜伏期です。
まさに、この段階で少し落ち着いてくることを表しています。
自分の身体への意識よりも…
- 友だちと一緒に遊ぶ
- 社会性を身につける
などに気持ちが向いている時期になっていきます。
いわゆるギャングエイジの年頃に当たります。
5.性器期
潜伏期を過ぎると、最後の段階に移ります。
第五段階は性器期です。
ここまでの段階に固着することなく、発達が進んだことで、
自分の身体ではなく、他者に対して意識が向いてきます。
フロイト的な言い方をすると、
生殖が目的になり、異性の性器にリビドーを感じるようになる時期です。
いやらしい意味ではなく、性器期は
- 感情は成熟している
- 他者を受け入れ、愛する
- 仕事、課題に打ち込む
- 目標に向かってやり遂げる
ことができるようになった理想的な人格になったことを表していると考えられています。
リビドーが適切に満たされなかったら…
5つの発達段階がある話をしてきましたが、
特に前半の3段階において
リビドーが満たされないことがあります。
リビドーがその段階において適切な満たされ方をしなかった
↓
その段階に固着(執着)してしまう
という状態になるとフロイトは考えました。
では、それぞれの段階で満たされなかった場合
どのようなことが起こるのか見ていきましょう。
① 口唇期で満たされなかったら…
例えば、口唇期の時に、お母さんが…
- 忙しかった
- 育児に無関心だった
- 柔軟性がなくて、予定通りの時間が来るまで「おっぱいお預け」タイプだった
のような人で、
そのお母さんに育ててもらった赤ちゃんは、
口唇期に固着した性格になると考えられます。
- 過食する
- タバコを吸う
- 爪を噛む
- 指をしゃぶる
- 他人に依存する
あなたがタバコを吸っている人なら
「認めたくない!」と思うでしょう。
必ずしも「この理論が絶対正しい」だけではありません。
あくまで自分や他者のことを知るための
一つのヒントとして参考にしてみてください。
② 肛門期で満たされなかったら…
肛門期の時に、親の躾が厳しかったとします。
例えば、お母さんが綺麗好きで
トイレや服が汚れた時…
なんでこんなところでするの⁉︎💢
と怒られる。
そうやって育てられると
その子どもは、肛門期に固着した性格になります。
- 臨機応変さがなくなる(白か黒か)
- 几帳面
- 頑固
- 神経質(潔癖症的)
- 我慢強い
- 身体を痛めつける
- 身体を鍛える
柔軟さがなくなったり、我慢したりする性格になると考えられています。
もし、肛門期に固着していなければ…
今回は失敗してしまったけど、
次は〇〇を修正してチャレンジしてみよう!
と発想することができるようになります。
③ 男根期にうまくリビドーを制限できなかった…
3〜6歳頃の男根期(エディプス期)の子どもは大抵の場合、
「異性の親を独占したい」と思うことがよくあります。
男の子ならお母さん
女の子ならお父さんですね。
これが故に男根期は、
同性の親を憎むようになる時期と考えられています。
女の子はお母さんを、
男の子はお父さんを憎むようになります。
通常は、「お母さん(お父さん)には敵わない」と痛感し、
同性の親との関係が改善していきます。
同時に、異性の親への性愛も諦めることができます。
しかし、リビドーが上手にコントロールできなかった場合
同性の親との絆が強くなります。
そのため、極端な性格が特徴的に現れたり、
いわゆる「マザコン」「ファザコン」になったりすると考えられています。
これについては、
エディプス・コンプレックス(エレクトラ・コンプレックス)
をテーマにした別の記事で説明いたします。
まとめ
今回は、
- 「リビドー」とは?
- 心理性的発達理論とは?
- リビドーと人間の発達の関係は?
についてお話してきました。
まとめると…
今回の内容が、みなさんのお役に少しでも立てていれば幸いです!
「参考になった」「ためになった」という人は
ぜひ周りの友だち、家族などに教えてあげてください!
また、取り扱ってほしい話題やキーワードなどがあれば、
あまり関係なさそうな分野でも
個人的にも勉強になりますので、
是非コメントしてください。
みなさんのコメントなどお待ちしております!
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