「接客中にお客さんが偉そうな態度を取られて嫌な気分になった…」
「別に嫌なこと言われたわけではないのに、この人と話すとなぜか心が苦しくなる…」
という経験をみなさんはしたことがないでしょうか?
これ以外のものであれ、人の悩みの大半は人間関係が要因になっていると言われています
そんな人間関係の悩みを少しでも解決できるものがあるとしたら、気にならないでしょうか?
心理療法の一つに「交流分析」というものがあります
交流分析では、5つの自我状態という人間観を基に
対人関係の悩みを解消することがあります
交流分析や5つの自我状態については、こちらの記事で詳しく説明しています
是非こちらの記事を先にご覧いただくと、今回の話がとても理解しやすくなります
では、今回は何について話をしていくかと言うと…
- 交流分析の立場で考える「人間関係のパターン」の種類
- 交流分析の考え方の活用の仕方
という点に焦点を当てていきます。
交流分析の主なアプローチ方法
交流分析には、主に4つのアプローチの仕方があります。
この内、今回は「交流パターン分析(やりとり分析)」を取り上げて、説明していきますが、
まず、その他のものについて簡単に説明しておきましょう。
構造分析とは?
交流分析では、個人の自我状態(心の状態)を「CP・NP・A・FC・AC」の5つに分類しています。
構造分析は、その人自身の心の状態が、今現在どのようなバランスになっているかを分析するものです。
その際に「エゴグラム」という心理検査を使い、自我状態を分析していきます。
エゴグラムに関しては、以下の複数の記事で説明しています。
是非こちらもご覧ください!
ゲーム分析とは?
ゲーム分析の「ゲーム」とは、
日常的な他人とのやりとり(コミュニケーション)の中で繰り返し起きるもので、
決まりきった良くない結末を導いている要因のことを指しています。
簡単に言うと、ある人との関係性の中にある「癖」のようなものです。
つまり、ゲーム分析とは、
人とのコミュニケーションの裏で悪さをしている「ゲーム」を分析・理解することで、
その関係性を改善しようとするもののことです。
脚本分析(シナリオ分析)とは?
脚本分析(シナリオ分析)とは、
その人の人生を1つの脚本(シナリオ)とみなして、
人生に表れる筋書き(=その人が演じてきた特有の人生ドラマ(生き方のパターン))を分析するものです。
みなさんにも、人生を通して自分が演じてきたキャラクター・役がありませんか?
そのキャラクターが、自分にとって居心地の良いものであれば特に苦しむことはないですが、
例えば…
学校では、勉強ができるというよりひょうきんなピエロ的なキャラクターになっている。
でも実は、そのキャラクターで居続けることに苦しみを抱えている。
この場合、そのひょうきんなキャラクターを演じていたことに気づき、
キャラクターの演じ分け、使い分けができるようにする。
つまり、自分の人生を自分でコントロールできるようにしていくことを目指すのが
脚本分析(シナリオ分析)と言えます。
交流パターン分析(やりとり分析)とは?
交流パターン分析(以下:やりとり分析)とは、
2人の間でのコミュニケーション(やりとり)を分析するもののことを言います。
では、何のために2人のやりとりを分析をする必要があるのでしょうか?
例えば、ある友だちと会話・やりとりをしている時に
この人と話をすると、いつも見下された感じがするな
という経験をしているとしましょう。
別に言葉遣いでトゲがある訳でもなく、
具体的に馬鹿にしてくることが言われる訳でもありません。
このように、普段の生活で
言葉そのものに原因がないのに、人間関係が上手くいっていないことがありますよね。
今上手くいっていない関係性を解明するために行うのがやりとり分析です。
お互いどの自我状態でやりとりしているのかに焦点を当て、
どこに問題があるのかを見つける
そして、円滑な関係性にしていく
これがやりとり分析なのです。
やりとり分析では、2人の関係性を3つに分類していきます。
- 相補的交流
- 交差的交流
- 裏面的交流
では、この3つの特徴はどういうものなのか見ていきましょう!
相補的交流
相補的交流とは、
こちらから送ったメッセージに対して、期待通りの反応が相手から返ってくるやりとりのことを言います。
例えば…
店員さんとお客さんの関係をイメージしてみましょう
何かお困りですか?
この服のサイズ違いはありますか?
他サイズは現在、店舗在庫がなくなってしまいました。
他店舗から取り寄せることは可能ですが、いかがでしょうか?
取り寄せお願いします。
この店員さんとお客さんのやりとりは、下の図のような
A⇄Aのやりとりになっています。
「大人」として、客観的で冷静なやりとりをお互いにしています。
店員さんは、Aの自我状態で、お客さんのAの自我状態に対して働きかけています。
同時にお客さんも、Aの自我状態で受け、店員さんのAの自我状態に答えています。
このように、お互いが意図した通りにやりとりができている状態を
相補的交流と言います。
交差的交流
交差的交流とは、
こちらの期待したものとは違う自我状態から相手の反応が返ってくるやりとりのことを言います。
先ほどの店員さんとお客さんと同様の立場であっても…
何かお困りですか?
この服のサイズ違いある?
他サイズは現在、店舗在庫がなくなってしまいました。
他店舗から取り寄せることは可能ですが、いかがでしょうか?
え〜在庫ないの〜
切らすとか、仕事できないな〜
店員さんの態度・受け答えは先ほどの相補的交流のものと全く同じなのに、
お互いが気持ちのいいやりとりができているとは言えなさそうですね。
今回のやりとりは、下の図のようになっています。
つまり、店員さんは、A⇄Aでやりとりをするつもりなのに、
お客さんは、P→Cという、親が子どもにするような少し見下した態度になっています。
このように、自我状態のベクトルがぶつかり合ってしまっている状態を
交差的交流と言います。
裏面的交流
裏面的交流とは、
社交的レベルと心理的レベルのやりとりが同時起きているやりとりのことを言います。
いわゆる「本音と建前」ですね。
同じように、店員さんとお客さんのやりとりで考えてみましょう!
何かお困りですか?
この服のサイズ違いありますか?
他サイズは現在、店舗在庫がなくなってしまいました。
他店舗から取り寄せることは可能ですが、いかがでしょうか?
そうなんですか!
一旦考えます!
在庫切らすとか仕事できなさすぎでしょ。笑
もしみなさんが店員さんだった場合、
お客さんの態度や言葉遣いは普通なのに、
どこか感じの悪さや気分を害すような居心地の悪さを感じるかもしれません。
今回のやりとりは、下の図の点線のように
お客さんが表面上はA⇄Aでやりとりをしているふりをしつつ、
裏で、小馬鹿にしたり、見下したりしていた態度をとっています。
このように、本音と建前が一致しておらず、表と裏で異なるやりとりが発生している状態を
裏面的交流と言います。
やりとり分析を活用すると、人に優しくなれる!
みなさんの日常では、この3つのやりとりの種類は経験しているでしょうか?
相補的交流で、やりとりができている時は
特別苦労することもないので、現時点で問題はないでしょう。
しかし、交差的交流や裏面的交流でやりとりしている場合
その相手のことを嫌いになったり、悪い印象を抱いたりすることが大半です。
ところで、これまでの人間関係で心当たりのある具体例が思い浮かんだと思います。
そして、次に同様のやりとりが生じた際に、今回の話を思い出すと
「これ交差的交流になってるから、コミュニケーションがうまくいってないのかも」
と、ギクシャクしてしまっている原因に納得できるようになるでしょう。
すると、今まではただ
何でそんな態度で言われなきゃいけないんだよ💢
と負の感情に飲み込まれてしまっていたものが、
今後は…
この人は今「A」ではなく、「P」で関わってきてるな。
じゃあ、「P」に対する対応に変えたらスムーズになるかも。
のように、負の感情が湧いたとしてもどこか冷静に
かつ、相手のことも考えながら対応していくことができるかもしれません。
また、仕事で交渉や営業をしなければならない時
この顧客は「P」の態度だから
「C」の態度で話を進めれば上手くいくかもしれない!
と、プライベートだけでなく
仕事の人間関係でも活用できる知識になります。
もちろん、自分自身に余裕がなければ
そんなことを考えることもできないから、イライラしてしまうこともあるでしょう。
ただ、これまでより
他人に対するイメージの持ち方に幅が広がったことは間違いありません。
是非、みなさんがこの「やりとり分析」の考え方を
日常でも活用できることを願っています!
まとめ
今回は
- 交流分析の立場で考える「人間関係のパターン」の種類
- 交流分析の考え方の活用の仕方
についてお話してきました。
誰でも「何かムカつく」「馬鹿にされてる感じする」
という人間関係の悩みを持っているはずです。
ただ、そのような負の感情に振り回されると、
何かエネルギーを消費して疲れますよね。
そんな嫌な疲れ方をする人が少しでも減ってくれることを願っています!
今回の内容が、みなさんのお役に少しでも立てていれば幸いです!
「参考になった」「ためになった」という人は
ぜひ周りの友だち、家族などに教えてあげてください!
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イラストも可愛くて、例え話も使いながら説明してくれているので、とてもわかりやすいです!
心理学者ごとに用語の解説をしてくれている点も個人的には嬉しい!
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